科研費「特定領域」SuperClean-Materials

カゴメ格子上ハバード模型におけるモット転移
-ＰＲＬの８月１１日号の表紙を飾る-

A05：桃井　勉

　　　幾何学的フラストレーションを持つ強相関電子系において、重い電子やスピン液体などの新奇な物性が近年発見され、注目を集めている。しかし強相関とフラストレーションを同時に取り扱うことが困難であり、モット転移近傍の物性は十分な理解が得られていなかった。そこで京都大学の常次宏一と大阪大学の大橋琢磨、川上則雄は、幾何学的フラストレート系の典型例であるカゴメ格子上のハバード模型にクラスター型動的平均場理論を適用し、強相関領域で1次のモット転移が実現することを数値計算により初めて示し、フラストレーション効果により転移点近傍の金属領域において重い電子的状態が実現すること、絶縁領域では1次元的スピン相関が支配的となることを明らかにした。本研究はPhysical Review Letters 97,066401 (2006)に掲載され、同誌８月１１日号の表紙を飾った。